2016年05月07日

【グインサーガ】少しずつ栗本路線ではなくなっていく

まあ、栗本薫先生が亡くなってもグインサーガ続いているというのがすごいことですが。

何冊か続いています。

栗本グインと同じような扱いをしつつも少しずつ離れていくなあと言うのが印象です。

それは仕方のないことではあります。

1冊につき5%ずつずれても数冊で10〜20%ずれていくわけですから。

グインが笛を吹いてトルク(ねずみ)をおびき寄せるのも柄じゃないですし。

あの方が復活されるのも、栗本先生は絶対書かなかっただろうし。

ヴァレリウスは魔法なんか教えている時間はないだろうと思う。

まあ、読んでいくといろいろ「ん?」と思うところはありますが、でも、むしろよく続いているなあ、という印象ではあります。

他人の作ったキャラで元の作者の路線を継承しつつ、ストーリーを勧めるのは大変なことだと思います。

私が拙く思うに、栗本先生が亡くなられたあたりで、グインサーガは転換点を迎えているんです。

それはグインがアモンをやっつけて、さらにヤンダルと対決した、というグインの物語では大転換点です。

少し路線が変わっていく辺りではあったとは思います。

いい意味では少し雰囲気が変わっても許されるんだと考えます。

これがアモン対決や7人の魔道師以前なら、極めて難しいことになっていたはず。

栗本先生も一つ、山を越えてから天国に行かれたんですな。

無理やり山を越えた感もありますが。転換点なんで、いくつかうまくつながっていないんですが、それも設定の星の会なのでしょう。

いろいろここが違うとか言ったし、言えるんですが、同時にそれは別の作者なんだから仕方ないとも思う。

他の作品だとこうはいかないでしょう。他の作者が続きを書くのはグインサーガだからできたんです。

まあ、でも少しずつ変わっていくよね。それはさびしいけど、多くの人に愛された長編作品だから、こそです。

欲を言えば、もうちょっと舞台を盛り上げて、ドラマチックで人間の大きさ、ちっぽけさ、見どころが欲しいですな。

でも、逆にグインは本当に多くの人間と場面を書いた途方もないスケールの大きさでありながら、一人一人のドラマまで詳細かつ大胆に描いた人気作品だったんだなーとしみじみ思います。

すいません。勝手なこと言って。また新刊を楽しみに待っていたりします。
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2013年12月15日

松井孝典著「スリランカの赤い雨」を読んでみました

SNSのちょっとした情報の流れでスリランカの赤い雨が出版されたことを知りました。松井孝典先生の著作はブルーバックスで読んでいたので面白そうだなと。

スリランカに降った赤い雨は宇宙由来の生命のもとか?というのが本書のテーマです。

この赤い雨から見つかった赤いものは、細胞のようでもあり、自己分裂する性質もあるのに、ウランを含んでいてDNAはないという奇妙なもの。

地球の生命はどこで生まれたか、もっと詳しく言うと、生命というものが宇宙のどの時点で生まれて無機的ま物質から進化してきたのか?というのは解明されていなと思います。ユーリーミラーの実験というのが、ごく初歩的なアミノ酸は初期の地球で生み出しえるということを実験で確認してはいます。でも、そこから、タンパク質が生まれ、遺伝子が生まれ生命が誕生した過程は明らかにされていない。

そこでパンスオエルミア説というのがでてきました。宇宙から彗星経由でウイルスが飛来し、生命が生まれ進化してきたという説です。これが本書を貫く仮説です。

私はこの説に少しの理解と大きな疑問を持っています。

まず、この本以外の事実として、最近の宇宙探査技術の発展によって、以前より宇宙には有機物がたくさんあるというのがわかってきました。アルコールだけの地球よりはるかに大きな質量をもつ”飲んだくれ星雲”の発見など、宇宙の星間雲にはかつて思われていたより多くの有機物の星雲があるとわかってきました。アミノ酸すら宇宙にはあるらしい。

であれば、最初の生命を生み出した有機物質が宇宙由来であっても構わないといことでもあります。もちろん、地球は分厚い大気を持っているので複雑な有機物も分解される可能性はありますが。おそらく宇宙には多くの有機物があって、それは地球のような条件を備えた星では生命を生み出しえるというのはわかります。

しかし、この本では、生命の進化はウイルスによってもたらされ、そのウイルスは宇宙由来ではないかと書かれています。生命の進化も人類の進化も宇宙由来で、我々は宇宙生命ではないかとの仮説まであります。

でも、そこは疑問を持っています。これは私の疑問なのですが、地球の生命が宇宙由来だとすると、逆になぜ進化するのに35億年以上もかかったのか?突然の進化が宇宙によってもたらされるとすると、地球の生命の進化体系がぐちゃぐちゃになって、突然新種が生み出されて、博物学的にそれが立証されるのではないかと考えるのです。

そこは宇宙のウイルスで進化したという説明なのですが、ウイルスというのはインフルエンザもそうですが、地球由来で別にかまわないのではないかと思います。宇宙からウイルスがやってきたにしては生物の進化は遅いのではないかと考えざるを得ない。

例えばわれわれ人間も胎児のときは、進化を再現していてると言われます。一つの受精卵が分裂し、魚のような形になり、徐々に人間の形になっていく。分類的にもそうです。大体生命と言うのは系統樹で説明されています。別に突然、無関係な種があるとも思えません。宇宙から生命が来たと考えるには進化には順番があり、順を追ってきている感があります。

松井孝典先生は実験で地球に海が生み出されるというのを岩石の衝突実験で明らかにした人なのに、この本は仮説が多い気がします。証拠として挙げているのがスリランカの赤い雨なのです。

スリランカの赤い雨が、地球外からやってきた生命と物質を結ぶミッシングリンクだとしたら、すごいことです。

でも、それならまず、正体を明らかにしてほしい。地球外からやってきたウイルスの実物とか、彗星にあるバクテリアとか、科学的に明らかになればもう少し信用できるのですが、今の時点では仮説でありロマンと言わざるを得ない。

スリランカで2か月間赤い雨が降ったというのも、宇宙由来だとして気象学的にどうかと思うのです。物質の効果速度が遅いのはいいとしても、風が吹けばもっと速く拡散するのではないかと思うのです。雨の降った範囲が2か月で200q以内というのはどうかと。

だからもっと証拠がないと、この説は現時点ではまだ仮説でしかないわけです。仮説を言うのは悪くないのですが、こういう証拠がありましたよ、ともっと提示して欲しいと思いました。

こういう説が出てきたのは、宇宙には有機物が多いことが分かったという理由もあるのでしょう。まだ生命の誕生にはわからないことがあり、それを説明する過程でこういう仮説が出てきたのだと思います。仮説としては面白い部分もあります。生命がどれだけ宇宙に存在するかを考えるのは科学的なテーマの一つでしょう。

しかし、現時点では完全否定するのも難しいのかもしれません。というのは人類は月の石を持って帰ったし、小惑星イトカワの微粒子を持って帰ったけど、エウロパの水を実験したわけでも、火星の土を持って帰ったわけでもないのですから。今のところ、地球にしか生命は見いだせないわけですが、他の恒星系に行って帰ってきたわけでもないです。むしろ、系外惑星が1000個以上、観測結果として測定されてますが、その大気すらまだよくわかっていません。

おそらく、今後、科学が進めば自ずからわかってくるのではないかと思えます。
タグ:書評・読書
posted by しゅうにゃん at 21:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月13日

「タブーすぎるトンデモ本の世界」を読みました

本屋で本を眺めていたら、気になって仕方がなかった。と学会の「トンデモ本の世界」シリーズ。

去年発売された「トンデモ本の新世界(世界滅亡編)」は終末予言に絞って書かれていたのだが、また今年は光を当てる角度が変わっている。

お題は"タブー"です。結構危ないテーマに挑戦するなあと思ったが、よく考えると、今までに扱ってきたトンデモ本も結構きわどいものも混じっていましたよね、オカルトとか宗教とか。わざわざ地雷や爆弾を扱うこともない、というのは私が素人だから思ったこと。危ないものを危ないと認識して慎重に取り扱えれば扱い可能だということでしょう。これはと学会の立ち位置というか、立場をしっかり自覚しているからこそできる技。でも、タブーといっても、と学会がタブーを破るということよりも、タブーな話題に踏み込んンだトンデモ本を扱ったということだもんね。あとは、タブーとして日の当たらない分野とかね。

内容が多岐にわたっている。天皇制、宗教、政治、オカルト、医療、etc.…。執筆陣の顔ぶれはこの分野に由来するのかと憶測。

で、やっぱりか!と思ったのは某新興宗教団体を扱ったところ。ここが濃すぎてほかの分野がおとなしく見えた。執筆者も恐る恐るという体を取りつつ、でもここは突っ込みどころが満載なので興味深く読めます。

山本会長は差別やデマを真正面から扱っている。これをできるのは一本気というか人間として芯があるからでしょうね。私にはできません。おそらく私が書いたら地雷を何発も踏んづけてボロボロになっているよな、きっと。

書評サイトでみかけて私が同感だったのは、「タブーすぎるトンデモ本の世界」は笑って済ませるだけではないということ。確かにそうだ。と学会が今まで扱ったトンデモ本の多くは笑えるのが多かったのだ。今回はテーマがテーマだけに仕方がないし、世の中って笑って済ませるだけでないから仕方がない面もある。でも、と学会は実は宝島のVOWみたいなお笑いエンターテイメントな側面も持っていた。そこは最近残念に思っていた。今後、また笑える本を扱ってほしいとは個人的希望。

とはいえ、タブーって読んでみたいでしょ?私も新興宗教の本なんて献本されてもいらないし、絶対に買いたくないがそれがどのくらいぶっ飛んでいるかは知りたい。自分の知らない世界を本を読んで知るのは楽しい。危ない地雷を踏みすぎるインパクトのある本ではないのだが、未知の世界を紹介してくれる本で面白かったですよ。

posted by しゅうにゃん at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする